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執筆者の写真漆原岳郎

新型コロナウィルス等の影響への対策


 今年2月以降、コロナウィルスにより、経済活動に大きな影響が出ております。

 全国民への10万円給付(特別定額給付金)が行われますが、根本的な解決へ至るものではありません。収入が減少した方の生活費の補てんや、経済を再活性させるための資金として、しっかり充当されることを願うばかりです。

 法人や個人事業についても、この情勢による財務状況悪化等を乗り切るために何か手を打つ必要が出てくるかと思います。


 今回は、法人や個人事業主として使える対策の一部をご案内します。

1. 役員報酬の減額(法人のみ)

 法人の資金繰りが悪化した場合、役員報酬について減額させることが法人存続の選択肢の一つになります。

 役員報酬については、正規の方法によらず期中で増減額させてしまうと、差額分が損金算入できなくなります。ただし、新型コロナウィルスにより売上等が大幅に減少するなどして、業績が極端に悪化した場合には、「業績悪化事由」に該当することとして役員報酬を減額させることができます。

 なお、業績が悪化したことについて説明が必要になりますので、前年対比が可能な会計資料などを準備しておく必要があります。具体的にどのくらい悪化すれば良いのかという明確な基準はありませんが、

  ① 資金繰りの悪化により雇用が維持できない

  ② 家賃の支払いや借入金の返済が滞るなど対外的に影響が出る

などにより、急激に財務状況が悪化した場合にのみ対象となります。単純に売り上げの減少だけでなく、それがもたらす財務的な影響が大きくないと減額できないこととなりますので、減額する場合は現状の財務状況を踏まえてご相談ください。

 ただ、上記は損金算入の話であって、この状況では損金に関係なく報酬を減額させざるを得ない場合もあります。その場合、法人の財務状況は現場にいる経営者が一番把握しているかと思いますので、現状の売り上げ状況などを基に判断していただければと思います。


2. 国税等の納税猶予


 従前より、納税猶予については申請により個別対応にて行われていました。ただし、延滞税の発生など負担や厳しい要件がいくつもありました。

 今回は特例的に、担保や延滞税を免除での納税猶予を行うものとなります。


要件は以下の通りです。

 1. 令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業に係る収入が

   前年同比概ね20%以上減少していること。


 2. 一時的に納税を行うことが困難であること。

 (注)一時的に納税が困難かどうかの判断については、半年間の事業資金を考慮に入れる

    など、状況に応じ判断。


 猶予期間については1年間となります。

 正直なところ、②における「先を見越しての判断」というのはかなり難しいところとなります。申請理由によっては税務署側からの許可が出ない可能性もありますが、今回の新型コロナウィルスが原因であれば、弾力的に対応してくれるものと考えられます。

 なお、こちらについては令和2年2月1日以降に納期限が到来する国税が対象(遡って適用可能)で、ほぼ全ての税目が対象となります。

 

 ただし、あくまで猶予であり、免除では無いです。影響は無いけど「とりあえず猶予しておこう」という判断ですと、後で資金繰りに困る場合もあります。

 また、地方税の納税猶予や、社会保険料の支払い猶予も行われる予定です。



3. 持続化給付金


新型コロナウィルスの影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者について、申請に基づき以下の算式による給付を行うものです。


支給額=前年の総売上-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)


給付限度額は、上記算式で計算した金額の内、法人が200万円、個人事業主が100万円(昨年1年間からの減少分を上限)となります。

 申請に際して、前年度の確定申告書類と当年の売上台帳等(前年対比の証拠)の提出が必要となります(赤字である必要はありませんが、課税対象の給付金です)。

 申請窓口はこちらのURLです https://www.jizokuka-kyufu.jp/


※帳簿上で売上の減少を無理やり作り出して申請することは給付金詐欺になります。適正な申請を行いましょう。


4. 中小企業・個人事業主支援金(埼玉県の休業補償)


4/8~5/6までの間で、7割(20日間)以上休業した事業者について休業補償として20万円もしくは30万円(複数の事業所を有する場合)を支給するものです。

 休業日数については、売り上げの無い日を1日とカウントし、時間短縮等を行った場合を0.5日とカウントするなど、単純に事業所を閉めていた日数だけでカウントするわけでは無いです。また、休業の証明方法については、休業の案内や事業収入の帳簿書類の提示が必要となります。

 休業要請が出ていない業種であっても要件を満たせば申請が可能となっており、申請は5/7以降となります。


 未曽有の経済危機に対して、納税の猶予のみならず、給付金の支給まで行われることで、企業の経済活動を援助していく対策となります。

 事業規模によっては、これらの給付金のみでは足りないですが、少しでも足しにしていただき、乗り越えられればと思います。


 今はとにかくこの危機を乗り越えることが重要です。

 しかし、これらの給付金等については税金が原資です。コロナ騒動が落ち着いた後に増税等による補てんが行われる可能性が高いです。

 過去においては、東日本大震災後に復興特別税として、大きな割合ではありませんが増税が行われました。復興特別法人税については2015年(平成27年)3月31日で廃止されましたが、復興特別所得税については2037年まで賦課されることとなっております。

 給付が行われても、後でわれわれ国民の負担になってしまうこととなるのでは、その使い道も保守的になってしまいそうですが、今経済が動かなければ、将来に希望が無くなってしまいます。生活費の補てん含め、使うことが適切なのかと思います。



 個人的な意見としては、国や地方公共団体の予算について使い切りという体質を改善して、繰り越しや削減という方向性にシフトし、少しでも財務体質が改善することを希望します。

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